この記事でわかること:面接で聞いていい?面接官の正直な本音/「細かい人」と思われない聞き方/長く募集が出ている職場は危ない?/給与・残業・休日の見抜き方

求人票に、嘘は書きません。ただ、書かないことはあります。

私は看護師として働きながら、採用する側で求人票の内容を考える立場にいます。だからこそお伝えできることがあります。求人票に何を書いて、何を書かないのか。そして、書かれていないことをどう確かめればいいのか。

「求人票を信じて入ったら、全然違った」——このミスマッチは、読み方を知らないことが原因のひとつです。

ただ、その前に。多くの方が気にしているのに、あまり語られていないことから始めます。気になったことを、面接で聞いていいのかどうか、という話です。

【面接官の本音】求人票の疑問、面接で聞いていいですか

正直に言うと「細かい人だな」と思うことはあります

先に、正直なところをお伝えします。

条件について細かく質問されると、「細かい方だな」と感じることはあります。そして、その印象はあまり良くありません。

意外に思われるかもしれません。転職の記事の多くは「疑問は遠慮なく聞きましょう」と書いています。私も、聞くこと自体は大切だと思っています。

ただ、採用する側の人間として正直に言えば、聞き方によって受け取り方はかなり変わります。

印象を分けるのは、聞く内容ではなく「聞き方」です

大切なのは、少し低姿勢で聞くことです。「教えていただけますか」「差し支えなければ」——この一言があるかどうかで、まったく違って聞こえます。

条件を確認すること自体は、当然の権利です。ただ面接は、これから一緒に働くかもしれない相手との最初の会話でもあります。確認の場であると同時に、人となりが伝わる場でもある、ということです。

もったいないのは、勢いよく質問をぶつけてしまう方

いちばんもったいないと感じるのは、一生懸命なあまり、前のめりに次々と質問をぶつけてくる方です。

悪気はまったくありません。むしろ真剣に職場を選ぼうとしているからこそ、そうなります。準備してきた質問を全部聞かなければ、と思われるのだと思います。

ただ受け取る側からすると、勢いに押されてしまい、身構えてしまうことがあります。熱心さが裏目に出てしまう——これがいちばん惜しいパターンです。

【実話】求人票を読み込んできた方は、すぐ分かります

反対に、印象の良かった例をお話しします。面接でこう質問された方がいました。

求人票にはママさんが多いと書かれていましたが、何人くらい働いていらっしゃいますか?

求人票やホームページをよく読み込んで、書かれていた内容を会話に織り込んでくる方です。こういう質問をされると、「本当にうちで働くことを考えて来てくれたんだな」と伝わります。

同じ「確認」でも、まったく違う伝わり方をします。

まとめると、こう聞くのが伝わります

  • 数を絞る:全部聞こうとせず、譲れない2〜3個に
  • 低姿勢で:「教えていただけますか」「差し支えなければ」を添える
  • 求人票の言葉を引用する:「求人票に〇〇とありましたが」と入れる
  • 一問一答にする:畳みかけず、答えを聞いてから次へ

聞くことをやめる必要はありません。聞き方を少し変えるだけで、同じ質問がプラスに働きます。条件を伝えるときの考え方は「夜勤なし希望」は不利になる?面接官が答えるでもくわしく書いています。

採用担当者が求人票に「書かないこと・書けないこと」

採用する側の立場で言えば、すべての情報を正直に書くことはありません。理由は主に3つです。

  • 応募者が減るから:「残業が多い」「夜勤が多い」と正直に書けば応募が来なくなります
  • 職場内部のことを公にできない:離職率・人間関係・管理体制の課題は書けません
  • 掲載のルール:媒体によって書けない表現があります

この前提を持って読むことが、騙されない職場選びの第一歩です。

「スタッフの声」は、応募を増やすために載せています

もう一つ、求人票づくりに関わる立場から、正直にお伝えします。

求人票には、スタッフの働く声を匿名で載せることがあります。「アットホームな雰囲気です」「子育てと両立できています」といった声です。

これは嘘ではありません。実際に働いている方の言葉です。ただ、載せる目的は応募を増やすことです。当然ながら、良い声を選びます。不満の声を載せる求人票はありません。

ですから「スタッフの声」は、雰囲気を知る手がかりにはなりますが、それだけで判断する材料にはなりません。気になったら、見学や面接で「実際どうですか」と確かめてください。

読む前に、自分の優先順位を決めておく

求人票を読むときに、いちばん大事な準備があります。それは「自分が何を優先したいのか」を先に決めておくことです。

優先順位が決まらないまま眺めると、給与の高さだけに目を奪われたり、逆に条件がひとつ気に入らないだけで良い職場を候補から外してしまったりします。

  • 収入
  • 休日数
  • 勤務時間
  • 残業の有無・多さ
  • 苦手な業務が含まれていないか
  • 通勤時間
  • 福利厚生

すべてを満たす職場は、まずありません。だからこそ「これだけは譲れない」を1〜2個決めて、それを軸に求人票を見ていくと、迷いがぐっと減ります。優先順位のつけ方は子育て中の看護師の転職先選びでも詳しく解説しています。

【面接官の実話】長く募集が出ている求人=危ない、とは限りません

「ずっと求人が出ている職場は、人がすぐ辞めるからだ」——そう思っていませんか。

私自身、半年以上ずっと求人を出したことがあります

理由は事業を広げるためのスタッフ増員で、辞める人が続いていたからではありません。それでも条件に合う方となかなか出会えず、募集が長引いてしまいました。

困ったのは、募集が長いと「何か問題がある職場なのでは」と見られてしまうことです。そこで求人票に「事業拡大に向けてスタッフ増員中です」という一文を加えることにしました。問題のある職場だと誤解されないようにするためです。

ただし「常に出ている」は、要注意のサインでもあります

一方で、採用する側から見て「気をつけたほうがいい」と感じる求人もあります。その一つが、常に求人が出ている職場です。

募集が長引くことには理由があります。増員のように前向きな理由のこともあれば、人が定着していないこともあります。どちらもあり得る、というのが正直なところです。

だから、理由を聞きます

見分けたいときは、こう聞いてみてください。

  • 「この募集は増員でしょうか、欠員の補充でしょうか」
  • 「前任の方は、どのくらい在籍されていましたか」

増員なら理由を堂々と話せますし、欠員補充でも誠実な職場ならきちんと説明してくれます。答え方の歯切れの良さが、いちばんの判断材料です。

答えを濁す、あるいは常に募集が出ているのに理由を説明できない場合は、慎重になったほうがいいと思います。ほかの見極め方は面接官が教える「入ってはいけない職場」のサインにまとめています。

項目別|採用担当者が教える求人票の読み解き方

【給与欄】「〜」の幅と手当の内訳を必ず確認

給与欄でよく見る「月給22万〜38万円」という記載。採用する側として正直に言えば、ほとんどの場合、実際の提示額は下限か下限に近い金額です。上限は「在職中のベテランスタッフが受け取っている上限」であることが多いです。

また、給与の金額だけでなく手当の内訳が重要です。夜勤手当・住宅手当・資格手当・通勤手当などがどこまで含まれているのかで、実質的な手取りは大きく変わります。

さらに「賞与あり(昨年度実績〇ヶ月分)」という記載は、昨年の実績であって今後も同額が保証されるわけではありません。「直近の賞与実績」を面接で確認しておくと安心です。

【給与欄】相場より明らかに高い場合は、理由があります

もう一つ気をつけてほしいのが、相場より明らかに高い給与です。

高いこと自体が悪いわけではありません。ただ、必ず理由があります。

  • 業務がかなり大変である
  • 人が足りず、急いで採用したい
  • そのほか、職場側の事情

高い給与を出してでも来てほしい状況がある、ということです。「なぜこの条件なのか」を面接で確認してください。納得できる理由なら問題ありませんし、説明できない職場なら、そこが答えです。

【勤務時間・残業欄】「残業少なめ」は要確認

「残業ほぼなし」「残業少なめ」という記載は、応募を集めるために使われる定番のフレーズです。この記載がある職場でも、実際には残業がある職場を何ヶ所も知っています。

確認の仕方は具体的に聞くことです。「月平均の残業時間を教えていただけますか」という質問に対して、「ほぼありません」という曖昧な回答しか返ってこない場合は注意が必要です。「月〇時間程度です」と具体的に答えられる職場は、管理が透明です。

【休日・休暇欄】「年間休日〇日」の中身を見る

「年間休日120日」という数字だけで判断しないでください。「年間休日」には有給休暇が含まれているケースもあります。所定休日(土日祝・法定休日)と有給休暇は別物です。「有給取得率はどのくらいでしょうか」「実際に有給は取りやすい環境ですか」という確認が必要です。

【職場環境・特徴欄】抽象的な言葉は具体的に聞く

「教育体制が充実」「スキルアップ支援あり」「働きやすい環境」——これらの表現は書きやすい定番フレーズです。しかし具体性がなければ、どんな職場でも書けます。

  • 「教育体制が充実」→「新入職者向けの研修はどのくらいの期間ありますか。プリセプター制度はありますか」
  • 「スキルアップ支援あり」→「具体的にどのような支援がありますか。資格取得の補助制度はありますか」
  • 「働きやすい環境」→「スタッフの平均在職年数はどのくらいですか」

具体的な質問に具体的に答えられる職場は、実態を伴っています。

【仕事内容欄】書かれている以上のことを、たいてい任されます

求人票の仕事内容欄は、どうしてもざっくりした書き方になります。すべての業務を書き出すと膨大になりますし、部署や時期によっても変わるからです。

実際、入職された方から「ここまでやるんですね」と言われたことが何度もあります。悪い意味ばかりではないのですが、想像していた業務範囲と、実際にズレがあったということです。

面接や見学の場で「一日の流れを教えていただけますか」「この業務は看護師が担当しますか」と具体的に聞いておくと、入職後のギャップが小さくなります。

【応募資格欄】「経験不問」の真意

「経験不問・ブランクOK」という記載は、一見門戸が広く見えます。正直に言えば、人手不足で選り好みができない状態の表れであることも少なくありません。ただし、逆に言えば「経験が浅くても応募できる」のは本当のことでもあります。

重要なのは、経験不問であっても入職後のフォロー体制があるかどうかです。「経験不問」の職場に応募する場合は、研修・フォローアップの内容を確認しておいてください。

求人票に書かれていないことを、どう知るか

面接や見学で、在職年数を聞く

離職率が高い職場の求人票に、その情報が書かれることはありません。ただ、面接や職場見学で「スタッフの平均在職年数はどのくらいでしょうか」「入職後1年以内に辞められる方はいらっしゃいますか」と聞くことはできます。答えを濁す場合は、それ自体が答えです。

職場見学で見るべきところは面接官が見ている「職場見学での好印象・悪印象」にまとめています。

口コミを見る

転職サイトの口コミ・Google口コミ・看護師向けの口コミサービスなどで、求人票には書かれていない実態が見えることがあります。ただし口コミには偏りがある(不満を持つ方ほど書きやすい)点も考慮して、複数の情報を組み合わせて判断してください。

相談できる相手がいる場合は、聞いてみる

転職エージェントを使っている場合は、担当者に「この職場の雰囲気はどうですか」と聞いてみるのも一つです。採用側との付き合いが長い担当者は、求人票に出ていない情報を持っていることがあります。

求人票チェックリスト|聞くことを2〜3個に絞るために

このリストは「全部聞くためのもの」ではありません。この中から、自分にとって譲れないものを2〜3個選んでください。数を絞ることが、いちばん伝わる聞き方です。

項目チェックポイント確認したい質問
給与手当の内訳・賞与の実績「昨年度の賞与実績を教えていただけますか」
残業「少なめ」の具体的な時間「月平均の残業時間を教えていただけますか」
休日有給取得率・取りやすさ「有給は取りやすい環境でしょうか」
教育体制研修期間・プリセプター「新入職者研修の内容を教えていただけますか」
職場環境在職年数・定着率「スタッフの平均在職年数はどのくらいでしょうか」
募集の背景増員か、欠員の補充か「この募集は増員でしょうか、欠員の補充でしょうか」

まとめ|求人票は「入り口」、確かめるのが「本番」

  • 求人票は、応募するかどうかを決める入り口。実態は面接と見学で確かめる
  • 気になることは聞いていい。ただし数を絞って、低姿勢で
  • 求人票の言葉を引用して聞くと、読み込んできたことが伝わる
  • 「常に出ている」「相場より高すぎる給与」は、理由を確認する
  • スタッフの声は、良い声が選ばれている

求人票を「信じる」のではなく「読み解く」視点を持つことが、入職後のミスマッチを防ぐ最大の対策です。

なお「まだ登録するか迷っている」という段階の方は、転職サイト「登録だけ」は大丈夫?転職は職場にバレる?もあわせてどうぞ。

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Nana
看護師として急性期病院の病棟で10年以上勤務した後、採用担当者・現役面接官としてたくさんの看護師さんを面接してきました。 長い夜勤の疲労、緊急入院が次々と続く終わらない業務、うまくいかない人間関係、そして現場の声に耳を傾けてくれない上層部——「もう限界かも、辞めたい」と感じる日々が、私にも何度もありました。 休憩室では、いつも誰かが転職の話をしていました。先輩も、同期も、後輩も。「次どこ受けようか」「あの病院、働きやすい?給料はどう?」——それが看護師の日常でした。辞めたい気持ちは、弱さでも甘えでもない。現場で働く看護師なら誰もが一度は抱く、ごく自然な感情だと、私は思っています。 だからこそ、転職を考える看護師さんの「怖い」「迷っている」「でも一歩踏み出したい」という気持ちが、心からわかります。 現在は採用担当者として多くの看護師さんの採用に携わった経験をもとに、面接官だからこそ知っている採用のリアルをお届けしています。このブログが、あなたの転職の一歩を後押しし、より明るく幸せな未来へとつながるお手伝いができれば嬉しいです。