「なぜ転職しようと思ったんですか?」

面接で必ずといっていいほど聞かれる、この質問。実は面接官にとって、転職理由は「この人が長く働けるか」を判断する最重要チェックポイントのひとつです。

たくさんの看護師面接を担当してきた私の経験から言うと、転職理由の答え方ひとつで、その後の面接の流れが大きく変わります。この記事では、絶対に言ってはいけないNG例面接官が「ぜひ来てほしい」と感じるOK例を、具体的にお伝えします。

面接官が転職理由で見ていること

まず前提として、面接官が転職理由から読み取ろうとしていることを理解しましょう。

  • 前職への不満の大きさ(同じ不満をウチでも持つのでは?)
  • 転職の目的が明確かどうか(なんとなく逃げているのでは?)
  • 長期的に働いてくれるか(またすぐ辞めるのでは?)
  • 自分の言葉で説明できるか(自己分析できているか?)

つまり、転職理由は「過去の説明」であると同時に、「あなたがこの職場で何を求めているか」を示すものなのです。

【NG例5選】これを言うと一気に印象が下がる

NG例1:「人間関係が辛かったので」

最も多く聞くNG回答がこれです。人間関係の悩みは、どの職場にも存在します。面接官は「ウチでも同じことを言うのでは?」と考え、採用をためらいます。

「前の職場では人間関係がうまくいかず、毎日つらかったので転職を決意しました」

なぜダメか:解決策を自分で模索した形跡がない。受け身で環境のせいにしている印象を与える。

NG例2:「給料が低かったので」

給与への不満も本音としては理解できますが、面接の場で最初に出すのは禁物です。

「今の病院は給料が低くて、もっと稼げる職場に移りたいと思いました」

なぜダメか:「条件次第でどこでもいい人」という印象になる。給与が下がったらまた転職すると思われる。

NG例3:「残業が多くて体力的に限界で」

「毎日残業で体がきつく、このままでは続けられないと思いました」

なぜダメか:体力面の不安を感じさせる。「ウチも忙しい時期があるけど大丈夫か?」と懸念される。

NG例4:「なんとなく変化が欲しくなって」

「ずっと同じ職場にいると刺激がなくなってきて、なんとなく変わりたいなと思って…」

なぜダメか:転職の目的が不明確。「深く考えずに転職を繰り返す人では?」と判断される。

NG例5:前の職場・上司の悪口

「師長との相性が最悪で、理不尽なことばかり言われて耐えられなくなりました」

なぜダメか:これが最も印象を下げます。「入職後もウチの悪口を言いそう」「協調性がない人」と判断される。

【OK例5選】面接官が「ぜひ来てほしい」と感じる答え方

大原則は、ネガティブな理由をポジティブな言葉に変換することです。本音は同じでも、「何から逃げたいか」ではなく「何に向かいたいか」を伝えましょう。

OK例1:スキルアップ・専門性を高めたい

「急性期で5年間経験を積み、今後はより専門的なケアに携わりたいと考えました。貴院の回復期リハビリへの取り組みに魅力を感じ、この環境でスキルをさらに伸ばしたいと思っています」

なぜ良いか:現職での実績を示しつつ、前向きな成長意欲が伝わる。志望先の特徴と結びついている。

OK例2:ライフスタイルの変化に合わせた転職

「子どもが生まれ、家族との時間を大切にしながら長く看護師として働き続けたいと思うようになりました。日勤中心で働ける環境を選ぶことで、仕事と育児のバランスを取りながら質の高いケアを提供し続けたいと考えています」

なぜ良いか:転職理由が明確で理解しやすい。「長く働き続けたい」という意志が伝わる。

OK例3:新しい分野・科目への挑戦

「病棟での経験を活かしつつ、在宅医療・訪問看護にも携わってみたいという思いが強くなりました。患者さんの生活の場に近い場所で、より継続的なケアに関わりたいと考えています」

なぜ良いか:キャリアの一貫性がある。現職の経験を無駄にせず次に活かす姿勢が伝わる。

OK例4:チーム医療・職場環境への積極的な関わり

「現在の職場では個人での業務が多く、多職種と連携してより包括的なケアを提供できる環境で働きたいと考えるようになりました。貴院のチーム医療への取り組みを知り、ぜひその一員として貢献したいと思っています」

なぜ良いか:志望先の特徴を調べている誠実さが伝わる。チームへの貢献意欲が明確。

OK例5:キャリアの節目としての転職

「看護師10年目を迎え、これまでの経験を整理する中で、今後は教育・後輩指導にも力を入れたいという思いが芽生えました。教育体制が充実している貴院で、後輩の育成にも携わりながらさらに成長したいと考えています」

なぜ良いか:経験年数を強みに変えている。組織への貢献まで視野に入れた回答。

転職理由を作る3ステップ

自分の転職理由がうまく言葉にできない方は、次の3ステップで整理してみましょう。

ステップ1:本音を書き出す

まず、正直な転職理由をすべて紙に書き出します。「人間関係が嫌だ」「給料が低い」「残業が多すぎる」——何でもOKです。

ステップ2:ポジティブに言い換える

書き出した本音を、「〜から逃げたい」→「〜に向かいたい」に変換します。

本音(NG)言い換え(OK)
人間関係が辛いチームワークを大切にした環境で働きたい
給料が低いスキルに見合った評価をされる環境に移りたい
残業が多いワークライフバランスを保ちながら長く働きたい
仕事が単調より専門性を高められる環境に挑戦したい
上司と合わない風通しの良い職場でのびのびと働きたい

ステップ3:志望先と結びつける

言い換えた理由を、応募先の特徴・強みと結びつけます。「だから、〇〇の特徴がある御院を志望しました」という流れにすることで、説得力が一気に増します。

よくある質問:転職回数が多い場合はどう答える?

複数回の転職歴がある場合、転職理由は特に丁寧に答える必要があります。ポイントは「一貫したキャリアの流れ」を見せることです。

「転職のたびにスキルアップしてきた」「それぞれの職場で明確な目標があった」という説明ができれば、転職回数はマイナスにはなりません。むしろ「経験豊富な人材」として評価されることもあります。

まとめ:転職理由は「未来への意欲」を語るもの

転職理由で面接官が本当に聞きたいのは、「あなたがこれからどうなりたいか」です。過去の不満をそのまま話すのではなく、それを踏み台にして「だからこの職場で〇〇したい」という前向きな言葉に変換しましょう。

  • NG:人間関係・給与・残業の不満をそのまま伝える
  • NG:前の職場や上司の悪口を言う
  • OK:「〜に向かいたい」というポジティブな言葉に変換する
  • OK:志望先の特徴と自分の転職理由を結びつける
  • OK:キャリアの一貫性・成長意欲を伝える

面接官の本音|転職理由でこれを言われた瞬間、不採用を決めた

採用担当者としてたくさんの面接をしてきた私が、「転職理由」を聞いた瞬間に「この方は難しいな」と判断した実例を正直にお伝えします。

実例①:前の職場の批判が止まらなかった

ある方の転職理由は「スキルアップしたい」という内容でした。しかし話が進むにつれ、「前の病棟の師長がひどくて」「改善案を出しても変わらず、古いやり方のままで」と前職への不満が次々と出てきました。

こちらが促したわけでもないのに批判が続いたとき、私は心の中でこう思いました。

「うちに来ても、同じことを繰り返すだろうな」

転職理由に前職批判が混じると、職場に問題があるにしても、問題解決能力や面接でそれを言えてしまう人間性に疑問を感じてしまいます。面接の場で前職を批判することは、どんなに内容が正当でも、マイナスにしかなりません。

実例②:「とにかく今の職場から離れたかった」と正直に言ってしまった

正直なことは良いことですが、面接では「逃げたい気持ち」をそのまま伝えるのは危険です。

「多重課題が苦手で、急性期の病棟は合っていないので、とにかく今の職場を離れたいと思った」とおっしゃった方がいました。気持ちはよくわかります。
でも採用側の立場では、「うちでも忙しい日が続いたら辞めるのでは?」 という不安が頭をよぎります。

まずは、なぜ自分が多重課題を苦手に感じるのかを、一度深掘りしてみましょう。

  • 何個のタスク以上になると混乱してくるのか?
  • 受け持ちが何人までなら落ち着いて業務を進められるのか?
  • 色々な業務を同時進行するスケジュール管理が苦手なのか?
  • 優先順位の組み替えが苦手なのか?

背景には、さまざまな事情があるはずです。例えば、

  • 3科の混合病棟で疾患が入り乱れる中、科ごとの対応の違いに混乱している
  • 慢性的なマンパワー不足で、確認したい場面でも先輩に聞ける雰囲気がない、確認できずタスクが溜まりすぎてしまう
  • 医師の指示が時間単位で変わり、業務をしながら追いつけずインシデントが続いている

こうした背景は少なからず何かしらあると思います。ですが、面接でそのまま正直に話してしまうと、ネガティブにしか受け取られません。

こういったことも、ポジティブに言い換えられれば、印象はまったく変わってきます。

例えば、「急性期での経験を通じて、一人ひとりの患者さんとじっくり向き合うケアに魅力を感じるようになりました。貴院ではより丁寧なかかわりを大切にしながら働きたいと考えています」

この2つの実例から学ぶこと

やってしまいがちなこと面接官の本音
前職の批判・悪口「うちでも同じことを言いそう」
逃げたい気持ちをそのまま伝える「同じことがあればすぐ辞めるかも」

転職理由は「前の職場から逃げる理由」ではなく、「次の職場で実現したいこと」として伝えるのが鉄則です。

在職中で転職活動をしている方は、隙間時間に転職理由を言葉にする練習をしておきましょう。声に出して練習するだけで、本番の面接で自然に話せるようになります。

次は「志望動機の作り方」や「自己PRの伝え方」も解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

▶ 面接対策の全体像は【面接完全攻略】採用担当者が教える看護師転職面接の総まとめガイドでまとめて確認できます。

ABOUT ME
Nana
急性期病院で看護師として10年以上勤務した後、採用担当者・現役面接官としてたくさんの看護師さんを面接してきました。 長い夜勤の疲労、緊急入院が次々と続く終わらない業務、うまくいかない人間関係、そして現場の声に耳を傾けてくれない上層部——「もう限界かも、辞めたい」と感じる日々が、私にも何度もありました。 休憩室では、いつも誰かが転職の話をしていました。先輩も、同期も、後輩も。「次どこ受けようか」「あの病院、働きやすい?給料はどう?」——それが看護師の日常でした。辞めたい気持ちは、弱さでも甘えでもない。現場で働く看護師なら誰もが一度は抱く、ごく自然な感情だと、私は思っています。 だからこそ、転職を考える看護師さんの「怖い」「迷っている」「でも一歩踏み出したい」という気持ちが、心からわかります。 現在は採用担当者として多くの看護師さんの採用に携わった経験をもとに、面接官だからこそ知っている採用のリアルをお届けしています。このブログが、あなたの転職の一歩を後押しし、より明るく幸せな未来へとつながるお手伝いができれば嬉しいです。