求人票は採用担当者が書くものです。だからこそ、採用担当者が何を書いて、何を書かないかを知っている私が、求人票の正しい読み方をお伝えします。

「求人票に書いてあることを信じて入ったら全然違った」——こういった入職後のミスマッチは、求人票の「裏の読み方」を知らないことが原因のひとつです。この記事で、採用担当者の視点から求人票を読み解く力を身につけてください。

採用担当者が求人票に「書かないこと・書けないこと」

採用担当者として求人票を作成する立場で言えば、すべての情報を正直に書くことはありません。理由は主に3つです。

  1. 応募者が減るから:「残業が多い」「夜勤が多い」と正直に書けば応募が来なくなります
  2. 職場内部の問題を公にしたくない:離職率・人間関係・管理体制の問題は書けません
  3. 採用サイトの掲載ルール:特定の表現は掲載できないことがあります

この前提を持った上で求人票を読むことが、騙されない職場選びの第一歩です。

項目別|採用担当者が教える求人票の読み解き方

【給与欄】「〜」の幅と手当の内訳を必ず確認

給与欄でよく見る「月給22万〜38万円」という記載。採用担当者として正直に言えば、ほとんどの場合、実際の提示額は下限か下限に近い金額です。上限は「在職中のベテランスタッフが受け取っている上限」であることが多いです。

また、給与の金額だけでなく手当の内訳が重要です。夜勤手当・住宅手当・資格手当・通勤手当などがどこまで含まれているのかで、実質的な手取りは大きく変わります。

さらに「賞与あり(昨年度実績〇ヶ月分)」という記載は、昨年の実績であって今後も同額が保証されるわけではありません。特にコロナ禍以降、賞与が削減された職場も多いため、「直近の賞与実績」を面接で必ず確認してください。

【勤務時間・残業欄】「残業少なめ」は要確認

「残業ほぼなし」「残業少なめ」という記載は、採用担当者が応募を集めるために使う定番フレーズです。採用担当者として、この記載がある職場でも実際には残業がある職場を何ヶ所も知っています。

確認の仕方は具体的に聞くことです。「月平均の残業時間を教えていただけますか?」という質問に対して、「ほぼありません」という曖昧な回答しか返ってこない場合は注意が必要です。「月〇時間程度です」と具体的に答えられる採用担当者のいる職場は、管理が透明です。

【休日・休暇欄】「年間休日〇日」の中身を見る

「年間休日120日」という数字だけで判断しないでください。採用担当者として、「年間休日」には有給休暇が含まれているケースもあります。所定休日(土日祝・法定休日)と有給休暇は別物です。「有給取得率は何パーセントですか?」「実際に有給は取りやすい環境ですか?」という確認が必要です。

【職場環境・特徴欄】抽象的な言葉は「具体的に教えてください」と聞く

「教育体制が充実」「スキルアップ支援あり」「働きやすい環境」——これらの表現は採用担当者が書きやすい定番フレーズです。しかし具体性がなければ、どんな職場でも書けます。

  • 「教育体制が充実」→「新入職者向けの研修はどのくらいの期間ありますか?プリセプター制度はありますか?」
  • 「スキルアップ支援あり」→「具体的にどのような支援がありますか?資格取得の補助制度はありますか?」
  • 「働きやすい環境」→「スタッフの平均在職年数はどのくらいですか?定着率を教えていただけますか?」

具体的な質問に具体的に答えられる職場は、実態を伴っています。

【応募資格欄】「経験不問」の真意

「経験不問・ブランクOK」という記載は、一見門戸が広く見えます。採用担当者として正直に言えば、人手不足で選り好みができない状態の表れであることも少なくありません。ただし、逆に言えば「経験が浅くても応募できる」のは本当のことでもあります。

重要なのは、経験不問であっても入職後のフォロー体制があるかどうかです。「経験不問」の職場に転職する場合は、研修・フォローアップの内容を必ず確認してください。

採用担当者が「あえて書かない」情報をどう知るか

離職率・平均在職年数を聞く

採用担当者として、離職率が高い職場の求人票にその情報は書きません。しかし面接や職場見学で「スタッフの平均在職年数はどのくらいですか?」「入職後1年以内の離職はどのくらいいますか?」と聞くことはできます。答えを濁す場合は、それ自体が答えです。

口コミサイトを活用する

転職サイトの口コミ・Google口コミ・看護師専用の口コミサービスなどを活用することで、求人票には書かれていない職場の実態が見えることがあります。ただし口コミはバイアスがある(不満を持つ人が書きやすい)点も考慮しながら、複数の情報を組み合わせて判断しましょう。

エージェントに「裏情報」を聞く

信頼できる転職エージェントは、求人票には書かれていない職場の実態情報を持っていることがあります。「この職場の雰囲気はどうですか?」「離職率は高いですか?」と直接聞いてみましょう。採用担当者との関係が長いエージェントは、内部情報を知っていることがあります。

求人票チェックリスト|採用担当者が注目するポイント

項目チェックポイント確認すべき質問
給与手当の内訳・賞与の実績「昨年度の賞与実績を教えてください」
残業「少なめ」の具体的な時間「月平均の残業時間を教えてください」
休日有給取得率・取りやすさ「有給取得率と取りやすさを教えてください」
教育体制研修期間・プリセプター「新入職者研修の具体的な内容を教えてください」
職場環境在職年数・定着率「スタッフの平均在職年数はどのくらいですか」
急募理由欠員の背景「急募の理由を教えていただけますか」

まとめ|求人票は「入り口」、実態確認が「本番」

採用担当者として強調したいのは、求人票は「応募するかどうかを判断するための入り口」に過ぎないということです。実際の職場環境は、面接での質問・職場見学・口コミ・エージェントからの情報で確認するものです。

求人票を「信じる」のではなく「読み解く」視点を持つことが、入職後のミスマッチを防ぐ最大の対策です。疑問に思ったことは遠慮せず聞く——これが自分を守る転職活動の基本姿勢です。