「内定をもらったあと、何を確認すればいい?」「給与交渉はしていいの?」——採用担当者としてたくさんの内定通知を出してきた立場から、内定後にやるべきことと条件交渉の正しいやり方をお伝えします。

内定は「ゴール」ではありません。条件を正しく確認・交渉してから承諾するのが、転職を成功させるための最後の重要ステップです。

内定後に必ず確認すべき条件リスト

採用担当者として正直に言います。内定通知の段階では、すべての条件が明文化されていないことがあります。口頭でしか説明されていない条件は、入職後にトラブルになるケースを何度も見てきました。必ず書面(雇用契約書・労働条件通知書)で確認することが大切です。

給与・賞与関連

  • 月給・基本給の金額:求人票に記載の金額と一致しているか確認。「経験考慮」と書いてある場合は、実際の金額を必ず確認する
  • 各種手当の内訳:夜勤手当・住宅手当・通勤手当・資格手当など、何が含まれて何が含まれないかを確認する
  • 賞与の有無と実績:「賞与あり」でも、実績ゼロの職場もあります。「昨年度の賞与実績を教えていただけますか」と聞くのは失礼ではありません
  • 昇給の基準と実績:毎年昇給があるのか、評価基準はどうなっているのかを確認する
  • 試用期間中の給与:試用期間中は給与が下がる職場があります。期間と給与を必ず確認する

勤務条件関連

  • 勤務時間・シフト体制:2交代・3交代の詳細、夜勤の頻度(月何回程度か)
  • 残業の実態:求人票の「残業ほぼなし」が実態と違うことは多いです。「月平均の残業時間を教えていただけますか」と確認しましょう
  • 配属先・担当業務:「希望の診療科に配属されると思っていたら違った」というトラブルを防ぐため、入職後の配属予定を確認する
  • 休日・有給休暇の取りやすさ:有給取得率や、実際に取りやすい環境かどうかを聞いてみる

その他の確認事項

  • 入職日:希望の入職日と合致しているか。現職の退職手続きに必要な期間を考慮して確認する
  • 社会保険・福利厚生:健康保険・厚生年金・雇用保険への加入有無
  • 研修・教育体制:特にブランクがある場合や新しい領域への転職の場合は、入職後の研修がどうなっているか確認する
  • 雇用形態・契約期間:正職員か、契約職員か。契約の場合は更新の可否と基準を確認する

採用担当者が教える「条件交渉」のタイミングと方法

「条件交渉をしてもいいの?」と遠慮する方が多いですが、採用担当者として言えば内定後の条件交渉は普通のことです。ただし、タイミングと伝え方が重要です。

交渉のベストタイミング:内定通知直後

条件交渉は内定通知を受けた直後が最適なタイミングです。「内定をありがとうございます。ぜひ入職したいと考えておりますが、一点確認・相談させていただいてよいでしょうか」という入り方が丁寧で好印象です。

面接中や書類選考中の交渉は避けましょう。採用担当者として、選考中に給与交渉をしてくる候補者には違和感を感じます。

交渉してOKな条件・慎重にすべき条件

交渉してOK慎重にすべき・避けるべき
給与(経験・資格を根拠に)初回面談から給与の話を出す
入職日の調整休暇・有給の日数増加を要求する
配属先の希望を伝える面接中に条件を並べ立てる
夜勤回数の上限相談複数条件を一度に交渉する
通勤手当の確認・上限の確認「他の内定先と比べて」と比較を持ち出す

給与交渉の正しい伝え方

採用担当者として印象の良い給与交渉の伝え方は、「根拠+希望額+柔軟性」の3点セットです。

例文:「現職では〇〇円いただいておりました。〇〇の経験と△△の資格を活かせると考えておりますので、可能であれば月給〇〇円をご検討いただけますでしょうか。もちろん、職場の規定もありますので、ご相談できればと思っております」

採用担当者として困る交渉は「とにかく上げてほしい」という根拠のない要求です。経験・資格・スキルを根拠に、具体的な希望額を伝えると交渉がスムーズに進みます。

エージェント経由なら交渉を任せる

転職エージェント経由の場合、条件交渉はエージェントに任せるのが最も効果的です。エージェントは採用担当者との関係構築ができており、直接言いにくいことも伝えてくれます。採用担当者として、エージェント経由の交渉は日常的なことであり、候補者の評価を下げることは一切ありません。

雇用契約書・労働条件通知書の確認ポイント

口頭での説明と書面の内容が違うというトラブルは、残念ながら珍しくありません。採用担当者としても、書面の内容は責任を持って確認していただきたいと思っています。

書面で必ず確認すべき項目

  • 労働条件通知書の交付:法律上、使用者は労働条件を書面で通知する義務があります。もらえない場合は請求してください
  • 試用期間の条件:試用期間の長さ・その間の給与・解雇条件を確認する
  • 雇用形態と契約期間:口頭で「正職員」と言われていても、書面に「契約職員」と書かれているケースもあります
  • 所定労働時間と残業規定:みなし残業(固定残業代)が含まれる場合、その時間数と金額を確認する
  • 退職に関する規定:退職届の提出期限・引き継ぎ期間などを確認しておく

採用担当者として言えば、書面の内容について質問することは歓迎です。内容をきちんと確認する姿勢は、誠実さの表れとして好印象に映ります。

内定承諾後にやること・やってはいけないこと

承諾後にすぐやること

  • 他の選考中の職場への辞退連絡:内定承諾したら、他の選考中・内定をもらっている職場に速やかに連絡する
  • 現職への退職申し出:内定を確定させてから退職の意思を伝える。退職届の提出タイミングは職場のルールに従う
  • 入職に向けた準備:引き継ぎのスケジュール作成・健康診断の受診(求められる場合)など

やってはいけないこと

  • 内定承諾後のドタキャン・音信不通:採用担当者として最も困る行動です。採用のために動いてくれた人たちへの敬意を忘れずに
  • SNSへの投稿:「内定もらいました!」をSNSに投稿するのは、現職にバレるリスクだけでなく、採用担当者の目に触れる可能性もあります

まとめ|内定後こそ丁寧に。条件確認が転職成功を決める

内定後のステップポイント
条件確認給与・勤務条件・配属先を書面で確認
条件交渉内定直後に根拠+希望額+柔軟性の3点セットで
雇用契約書の確認試用期間・雇用形態・残業規定を必ず確認
承諾後の行動他職場への辞退連絡・現職への退職申し出を速やかに

内定をもらった安堵感から、条件確認を疎かにしてしまう方が少なくありません。採用担当者として強調したいのは、内定後の確認と交渉こそが転職成功の最後の鍵だということです。遠慮せず、丁寧に確認・交渉してください。

次の記事では、採用担当者が見ている「職場見学」でのチェックポイントを解説します。